「日本の中心」が誇る三つの水【郡上】

平成の大合併により誕生した郡上市の面積は1,000平方キロメートルを超える。
大合併の効果については以前から懐疑的ではあるのだが、地域に点在していた見どころを一つのキーワードで紹介できるようになったことは、数少ない利点の一つかもしれない。

郡上市は大半が長良川の流域になる。河口堰を除いてダムが存在しないことで知られる、日本では数少ない清流のひとつである。ダムが作られなかった理由はいくつかあって(清流だから、というのは残念ながら日本では理由にはならない)、谷の幅が比較的広いために適した地形がないこと、開けた地形のために谷筋に相当数の人口が集中し、水没に伴う影響が非常に大きいことなどが挙げられると思う。

長良川は中流域が名水百選に指定されている。指定区域は美濃市・関市・岐阜市となっており郡上市は対象から外れてはいるが、上流に位置する郡上市では観賞に堪えない、などということがあるわけがない。

郡上市の中心、旧・八幡町の市街地を切り出した。
「奥美濃の小京都」とも呼ばれる情緒あふれる町並みは観光客に人気があるが、味気ない地形図からは残念ながら町の様子までを窺い知ることはできない。
ただし、地形図を注意して見ると、中心市街を取り巻く形で幅員の広いバイパスが建設されているのがわかる。旧市街地の道路が自動車の通行に耐えられないための措置である。
本図の中心、十字の印の付近には宗祇水という湧水がある。環境庁(当時)が名水百選を制定する際に、最初に選んだのがこの宗祇水であったと言われている。長良川の指定区域から外されても、郡上は名だたる水の町なのだ。

次の地図に移動する前に「日本の中心」について説明しておきたい。
現在は郡上市域になっている旧・美並村には以前「日本の人口重心」があった。現在でも東海北陸自動車道を走行中に、このような標柱を眺めることができる。
この設定が活きたと思われる映画(『サトラレ』)のロケ地が八幡町周辺にあるそうだが、ぼくはエンタテインメントには詳しくないので、紹介は割愛させていただく。

旧・八幡町から国道156号線を北上すると、旧・白鳥町を抜けたあたりから峠越えとなる。
峠を登り詰めると一転して平坦な景色が広がる不思議な地形をしている。ひるがの高原という地名の方が有名かもしれない。
地形図の中央にある記念碑は、中央分水嶺であることを記念する公園の中に設置されているらしい。一本のせせらぎが公園の中で分離し、それぞれ太平洋側(長良川水系)と日本海側(庄川水系)に注ぎ込む。子どもに読み聞かせるような物語をこの目で見られる、貴重な場所ではないだろうか。
「日本の中心」は、水の町である。



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写真は宗祇水。日中は観光客(ぼく自身も含む)が絶えないため、人影の写り込まない写真は撮りづらい。

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このページは、kimisekaが2009年5月23日 06:37に書いたブログ記事です。

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