君の知らない世界一周物語

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3月31日に思うこと「モラトリアムの終着点」

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「大学を卒業しました」

Facebookを見ていると、そんな投稿がたくさん流れてくる。

旅に出る以前は、ぼくのFacebook上には大学生などほとんどいなかった。

いまぼくのFacebookのタイムラインをにぎわせているのは、ここ数か月の南米の旅で爆発的に増えた大学生の友達の投稿だ。

 

「そうかーーー」ぼくはブエノスアイレスの宿で物思いにふける。「もうそんな季節なんだな」

 

日本では、3月というのは多くの”なつかしいもの”が終わり、4月に始まる多くの”不慣れなもの”の準備をする季節だ。

思えば、ぼくもそうだった。

 

新卒入社して5年間勤めた東京の会社。あの気持ちのいい会社を2013年3月末に退職してから、はや2年が経ったのだ。

 

 

この2年間は、ぼくの29年間の生涯において、もっとも大きな変化をともなう2年間だったといえるだろう。

初の退職、初のインターネットビジネス、初の起業、初の青色申告、初の海外旅行、、、

いままでの生涯とは比べ物にならない速度で、いくつもの”初体験”をした。

 

 

 

初体験というのは、何歳になっても心躍る体験であり、大きな成長をともなうものである。

 

もしかすると、「じゃあ、どこがどう成長したの?」と聞かれても、はっきりと言語化できないかもしれない。しかし、初体験を通してぼくらは、ものすごい情報量を受け取り、処理している。そしてそれは確実にぼくらの”人間力”を底上げしているのだ。

 

 

「言葉で説明できるものがすべてじゃない」と、ぼくはいつもそう考えている。

もし、この世界のすべてを言葉で説明できるとしたら、世界はおそろしくつまらないものになるだろう。

 

美しい景色を見て胸の辺りがワクワクするような感覚や、好きな異性と手をつないで心が満たされていく感覚。

そんな名状しがたい(言葉にできない)感覚がある限り、まだこの世界を生きていく価値はあるかもしれない。”それ”を表現するに足る、”それ”に限りなく近いニュアンスを描写するレトリック(たとえ話)や、オリジナルな形容詞を探す楽しみがあるのだから。

 

 

 

 

「あるいはーーー」瓶から直接ビールを一口飲み、ぼくは考える。「正しい言葉が、すべて正しいとは限らないのかもしれない」

 

想像したこともない言葉の配列、知らない世界、ありえない価値観。そんな満たされない冒険心が、おそらくぼくらを村上春樹の世界にいざなうのだろうし、世界一周の旅にいざなうのかもしれない。

 

 

 

すべては、よくわからない。

 

あらゆるものの回答を保留し、ぼくらはいつまでもモラトリアム(猶予期間)の世界を行く。

 

大学を卒業して就職して、いわゆる”社会人”になったからといって、「モラトリアムが終わった」などと思ってはいけない。むしろそこが、”ゴールのない旅”の出発点なのだ。

 

 

「戸惑いこそが人生だよ」と、シルバーズ・レイリーも述べている。

※シルバーズ・レイリーとは?⇒漫画「ONE PIECE」の登場人物。ゴールド・ロジャーの船に乗っていた男。

 

 

 

モラトリアムの終着点は、おそらく、ない。

それは死ぬまでわからないだろうし、死んでもわからないかもしれない。

いわゆるソクラテスの「無知の知」だ。「知らないと自覚しているぶん、ほかの愚者よりも自分は賢いのだ」という、ソクラテス一流のアイロニー(皮肉)である。

 

どんな事象も、ある種の”結論”であると同時に”始まり”である。

そうして、ぼくらの冒険は続いていく。

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