君の知らない世界一周物語

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超悪路でバス立ち往生!アスンシオン〜サンタクルス地獄の31時間

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「あるいは数分後にはーーー」横転するタンクローリーを横目に、ぼくは思った。

「ぼくらのバスも横転するのかもしれないな」

 

旅人のあいだで、「南米最悪の長距離バス区間」として恐れられるルートがある。

パラグアイのアスンシオンからボリビアのサンタクルスへ向かう区間。ぼくがいま走っているこの道路こそが、まさにその「魔の区間」なのだ。

 

いや、そもそもこれを”道路”とよんでいいものか、それさえ怪しい。
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舗装されていない道を走るバスは、冗談抜きに30度ぐらいの角度まで左右に傾いて走る。絶叫マシンどころの騒ぎではない。

 

「ほら、窓から手を出すと地面に届きそうなぐらい傾いているだろ?」ぼくは誰とも知れない相手に語りかける。

 

 

 

特にひどかったのは、アスンシオンからボリビアーパラグアイの国境に至るまでの区間。ぼくはこの旅で何度となく長距離バスに乗ってきたが、このとき初めて、「横転したときの受け身の取り方」を考えた。

 

進行方向に対して、ぼくは左側の窓側に座っている。となりには体重120kgはあろうかというパラグアイ人力士が座っている。そして南米ではよくあるのだが、こんなときに限ってシートベルトが壊れていて使いものにならない。

「やれやれーーー」ぼくは海外旅行保険の申請方法を頭の中で復習する。「あ、死亡保障つけてなかったわ」

 

もし左側に横転したとしたら、力士+右側の乗客+網棚の荷物一式がぼくにのしかかってくるわけだ。軽く済んだとしても骨折、最悪の場合は窒息死かな、そんなことを考えていた。

 

 

 

19時にアスンシオンを出発したバスは、翌朝6時にはこの超悪路区間にさしかかっていた。

運転手の超絶テクニックで横転ギリギリで走る。もしかしたら、あるいは片輪走行ぐらいはしていたかもしれない。

 

 

ぼくは何度も「これはもうだめかもわからんね」と天を仰ぐ。

「もう、どうにでもなれ。横転しても、死ななきゃブログのネタにできる」と開き直りを見せるぐらいにはぼくは楽観主義だということに気づけたのは収穫といえるだろう。

 

 

 

泥道に入って3時間。ぼくらのバスはまだ泥道を走り続けていた。

「乗客40人の命を乗せてこんなクレイジーな道を走るなんて、ぼくには到底できっこない。運転手はどこか頭のネジが2本か3本ほどぶっ飛んでいるんだろう」

そんなことを思いながら、ぼくはiPhoneで音楽を聞くことにした。

こんなときに聞きたくなったのは、なぜか「君の知らない物語」だった。

 

 

 

 

さらに2時間が経過して11時を過ぎたころ、ぼくらのバスは泥にはまって動けなくなっていた。立ち往生である。
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長距離バスがトラブルで止まるのはこの旅で初めてのことだ。不謹慎ながらココロオドル。

 

外に降りた乗務員がテンション高く言う。

「さあ、みんな!降りてバスを押そう!!」

おまえは体操のお兄さんか。

 

 

 

渋々バスを降りる乗客たち。
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バスを降りたタイミングで、欧米人男性が話しかけてきた。

男「やあ、君はどこから来たの?」

なり「日本だよ。君は?」

男「日本かあ!中国人かと思ったよ。ぼくはフランスさ」

なり「フランスね。ジダンのヘディングはすごい。1998年のワールドカップではあのヘディングでブラジルを倒したし、2006年大会ではマテラッツィも倒したんだから」

男「あははは。そうだね。日本といえば、ナカタ!カガワ!ナカムラ!だね」

なり「そう。シュンスケはぼくのヒーローなんだ」

 

まさかパラグアイのこんな泥道で、ぼくのヒーロー中村俊輔の名前をフランス人から聞くことになるとは、高校時代のぼくは予想もしなかっただろう。

ぼくは高校の頃サッカー部で、もともと利き足は右だったが、俊輔に憧れて左足に矯正したのだ。くる日もくる日も左足で蹴る練習をしていた日々がなつかしい。

 

 

 

そんなこんなで、みんなでバスを押した。バスはびくともしなかった。

 

 

 

 

小一時間ほどみんなで途方に暮れていると、救世主がやってきた。
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ロードローラーだッ!!!、、、ではなく、トラクターだった。ジョジョファンとしては、ここは黄色いロードローラーが見たかったが、ぜいたくは言えないのだ。

このトラクターがあっけなくバスを救出した。

 

 

 

結局その後も数時間、バスは揺れに揺れたのだが、なんとか横転することなく国境を越えることができた。
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出発から31時間後の深夜2時。

バスはようやくサンタクルスに到着した。
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この旅で二度目のボリビア入国だ。

サンタクルス。この町にやってきたのには理由があるが、それは次回また書こうと思う。

 

「南米最悪のバス」というウワサは本当だった。

このルートはもう二度と乗りたくない。

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