君の知らない世界一周物語

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敵か味方か?怪しげなインド人との交渉と、飛び込み営業

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チョンキンマンションは、香港の繁華街「ネイザンロード」に面する商業ビル。エレベーターは16Fぐらいまである。

各フロアには、3つ〜4つほどのゲストハウスが入居しており、ビルの入口付近には、大勢の客引きインド人がたむろしている。

僕がビルの入口にさしかかると、ひとりのインド人男性が話しかけてきた。

 

インド人「ハ〜イ。アナタ日本人デスカ?」

僕「そうだよ」

イ「日本人トモダチ!コニチワ!僕はサディです。空き部屋あるよ」

 

僕はここで考えた。

「インド人といえば、高確率で騙してくる人種じゃないか。無視するべきか…?」

人のブログから得た情報だが、インド人といえば、旅行者を騙す詐欺師が多いらしい。だから、向こうから話しかけてくるインド人はまず疑え!というぐらい、警戒すべき人種らしいのだ。

 

もう一度、相手の表情をよく見てみる。

へらへらしていて、見るからにうさんくさい。騙す気なのかもしれない。だが、僕はとにかく疲れていたので、気にせず話をしてみた。どんな場所でもいいから、シャワーを浴びて一刻も早く眠りたかった。

僕「一晩泊まりたいんだけど、いくら?」

サディ「200香港ドルね」(約2,600円)

 

200香港ドル?まだここに来たばかりなので、高いのか安いのか、よくわからない。

というか、そもそも持ち合わせがない。

僕は、両替レートが良いと言われているチョンキンマンション内の両替屋で両替するつもりで、空港では2,000円(146香港ドル)しか両替しなかった。ところが24時近い時刻ということもあり、チョンキンマンションの両替屋はすべて閉まっていたのだ。

今から両替屋を探すのかぁ…めんどくさいなぁ…と一瞬思った矢先。

サディが素早く提案する。

「お金は明日払ってくれればいいよ。明日の午前には両替屋がオープンするから。でも、入口に近い両替屋はレートが悪いからダメだよ。両替するなら、一番奥の両替屋を使うんだ」

このサディという男、なかなか提案力がある。もう騙されてみてもいい気がしてきた。ほら、人を見かけで判断してはいけないというではないか。

 

僕はこの怪しげなインド人・サディの話に乗ってみることにした。騙されたら騙されたで、それもまたおもしろい。

僕「OK。部屋へ案内して」

サディの瞳が怪しく光った気がした。

 

エレベーターに乗り、14Fへ向かう。ボロいエレベーターだ。

 

14Fに到着。

ガチャッとドアを開けながら、彼は自慢げに言った。

サディ「この部屋だよ」

 

僕は愕然とした。

部屋がおそろしく狭かったのだ。まるで独房である。風呂とトイレの広さを合わせても3畳ほどの広さしかない。

そして窓がない。僕はこれまで安宿に何度か泊まったことはあったが、窓のない部屋というのは初めてだった。

窓がないということが、これほどまでに圧迫感を感じさせるものだとは知らなかった。

 

水回りも、とても快適とは言えない。どこかで嗅いだことのある、下水道のにおいがする。そうだ、渋谷駅のにおいだ。地下の渋谷駅構内に入った瞬間にムワッと感じる、あのにおい。

 

渋谷駅的バスルームは、使い勝手が悪かった。

便器の真上にシャワーがあるので、シャワーを使うと便器がビショビショになってしまう。
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しかし、これがアジアの安宿スタイルなのだ。便座が濡れて冷たくても、気温が高いから気にならないのだろう。

 

この旅では、基本的に安宿を利用していく。世界にはもっとひどい宿があるはずだ。

独房にも慣れねばならない。これに慣れることができれば、僕はもっと自由になれる。

自由とは、がんじがらめの不自由さの中にこそあるものなのだ。

 

シャワーはちゃんと温水が出て、思ったほど悪くはなかった。便器は邪魔だったが…

 

さて、シャワー直後に洗濯をするのが、僕のスタイルである。荷物軽量化のため、僕は着替えを1日分しか持っていないので、毎日洗濯せねばならない。

スクラバウォッシュバッグ(携帯洗濯袋)と石けんを使い、ジャバジャバと洗濯。部屋にロープを張り、シャツやパンツを干した。

この独房には窓がない。が、強力な扇風機とクーラーがあるので、風をうまく当てれば翌朝には乾くだろう。

 

洗濯を終えると、なにか気持ちのいい達成感を感じる。

 

シャワーを浴び、洗濯物を干し、歯を磨いたところで、僕はバッテリーが切れたかのように眠りについた。

死んでるみたいだろ?眠ってるんだぜ、これ」と、誰かがささやいた気がした…

 

翌朝。

疲れていたため、ぐっすりと眠ることができた。空腹感が料理をおいしく感じさせるように、疲労感もまた睡眠を極上の味にする。たとえそれが独房のような宿であっても、である。

 

目が覚めたのは早朝6時。ここで2時間かけ、僕は初めて海外でブログを書いた。ベッドの上であぐらをかいてパソコンを打っていたので、腰が痛くなった。

宿のWi-Fiは比較的良好で、画像も素早くアップロードできた。

 

ブログを書き終わると、ひどく腹が減っていることに気づいた。

「なにか香港的なものが食べたいな」

街へ出ると、すぐにヤムチャのお店が見つかったので入ってみた。店員におすすめメニューを聞き、注文したのは、野菜の雑炊とエビの春巻きっぽいやつ。

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温かい雑炊が五臓六腑に染み渡り、うまかった。料金は62香港ドル(約800円)。

やはり香港はアジアにしては物価が高い。日本とたいして変わらないかもしれない。

 

宿のチェックアウト12時まではまだ少し時間があったので、ネイザンロード周辺を散策した。

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宿に戻り、チェックアウト。

受付は昨日とは別のスタッフで、サディはいなかった。

さよならサディ。あんたちょっといいヤツだったよ。

 

独房を出た僕は、同じチョンキンマンション内で、別の宿を探すことにしていた。

最上階までエレベーターで上がり、そこから階段で降りて、各宿と交渉する。

まるでサラリーマン時代の飛び込み営業みたいだな、と僕は少しノスタルジーを感じた。

 

目標は、一晩100香港ドル(約1,300円)の宿を探すことだったが、どの宿も200〜300香港ドルを提示してくる。

どうやらここチョンキンマンションでは、一晩200香港ドルが相場らしい。

サディは、少なくとも金額に関しては良心的だったのだ。(部屋は独房ではあったが)

 

「100香港ドル?無理無理!」といった感じで、手をヒラヒラと振りながら断られる。このビルではみんな、手をヒラヒラさせてバックパッカーを断る訓練でも受けているのだろうか。

 

5軒ほどゲストハウスを門前払いされたところで、「100は無理だけど150香港ドルならいいよ」と言ってくれる宿を見つけた。

この宿は普通なら200香港ドル。

僕が訪ねたとき、ちょうど清掃中だったらしく「まだ片付いていないけど、それでもいいなら」という条件で150香港ドルで借りることができた。

ラッキーだ。僕は荷物を置いて、すぐに街へ繰り出す予定だったので、部屋が片付いていなくても問題ない。夜眠るときに片付いてさえいれば。

 

部屋は窓もあり、ベッドが2台あったけれど、ひとりで使わせてもらえた。
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宿に荷物を置き、僕は船着き場へ向かうのであった…

(続く)

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Comments & Trackbacks

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. いい感じでスタートしたねー!

    すっげぇワクワクする。
    俺も行きたくなってくるわ。

    そういや、これらのやり取りは英語でやってるの?

    • なり@管理人

      >トシ

      やりとりは英語とか表情とかボディランゲージとかだよ。それを脳内変換して書いてる!ただ、今回のインド人に関しては、片言の日本語だったので、いわゆる「原文ママ」だね。

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