君の知らない世界一周物語

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タージマハルのインド人ガイド。請求された金額は?

ヤバい。

目が覚めた瞬間、僕は直感した。

おそるおそるiPhoneの時計を確認する。

 

【備考】

8月14日。今日はアーグラーへ、タージマハルを見に行く。

アーグラーはデリーから電車で2時間の場所にあるが、電車の出発時刻は6時と朝早い。

5時に起きようと思い、前日は早めに就寝したのだが…

 

 

iPhoneのボタンを押して時計を表示する。真っ暗な部屋に慣れた目に、明るい画面がまぶしい。

顔をしかめながら、ぼやける画面に目をこらす。

 

 

 

 

表示された時刻は5時45分。

電流走る。寝坊だ。

 

5時に設定されたアラームは、むなしくスヌーズし続けている。

 

 

 

ベッドから飛び起きて小便をし、急いで着替える。

 

iPhoneと財布と電車チケットをポケットに突っ込み、宿を飛び出す。起床からここまで2分。パズーもびっくりの支度スピードだ。

※パズー⇒映画「天空の城ラピュタ」の主人公。冒険の支度を40秒で終えるシーンはあまりにも有名。

 

 

静まり返ったメイン・バザール。日中の喧騒が嘘のようだ。

 

寝ている野良犬のそばをバタバタと駆け抜ける。僕の足音に驚いた犬たちが、ガウガウと僕に吠えかかってくる。

 

 

宿から駅までは、歩いて10分ぐらいかかる。さらに、ニューデリー駅は線路の数が多いので、車両にたどり着くのに時間がかかる可能性もある。

ここは1分の時間も惜しい。

ちょうど客を降ろしているオートリクシャーを見つけたので、料金確認もせずに飛び乗る。

 

 

 

「ニューデリー駅まで!急いで!」

そう伝えると、ドライバーはメイン・バザールをかっ飛ばしてくれた。

 

 

早朝で道が空いていたこともあり、2分ほどでニューデリー駅に到着。言い値で100ルピー(約170円)を払い、オートリクシャーを飛び降りる。

値切っている時間などない。電車に乗り遅れれば、チケットと手数料あわせて1,700ルピー(約2,900円)が無駄になるのだ。

 

 

 

ニューデリー駅構内に入り、電光掲示板を確認する。

電車番号12002。プラットフォームは1番。

やった。入口からもっとも近いプラットフォームだ。

 

プラットフォームにアーグラー行きの電車を発見。

猫のような身のこなしで車両に滑り込む。

 

その直後、電車が動き出した。

間に合ってよかった…

 

 

 

 

冷房の効いた車内はシートも広く、快適だ。
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窓側の席で呼吸を整える。

 

今回の電車は食事が付いている。

ワクワクしながら待っていると、期待を裏切る食事が出てきた。
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くさいパンと粗末な揚げ物で、どうにか空腹をまぎらわす。

 

 

ときおり眠りつつ、電子書籍を読んで過ごす。

 

きっちり2時間後、電車はアーグラー駅に到着した。
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と、車両を降りたところでタクヤくんを発見。

タクヤくんは昨日サンタナに泊まっていて、一緒に夕食を食べた仲だ。今夜はアーグラーに泊まるらしい。

せっかくなので、タクヤくんとアーグラー観光することに。

 

 

駅周辺をウロウロしていると、マッチョなインド人が声をかけてきた。

マッチョ「タージマハルまでオートリクシャー、100ルピー。私のニックネームは”ナカムラさん”です」
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なんだこのインド人は。

バラナシで出会ったインド人・トシといい、日本人の名前をニックネームにするのが流行ってるのか。
※参考記事⇒ボク、悪いインド人じゃないよ!日本語ペラペラなインド人に誘われて…

 

 

アーグラー駅からタージマハルまでは5kmほど。

ナカムラという名前はうさんくさいけれど、金額はリーズナブルだ。

 

おもしろそうなので、ナカムラさんに送ってもらうことにしよう。

 

 

 

ナカムラさんは僕らをオートリクシャーに乗せ、タージマハルへ向けて走り出した。

 

 

ナカムラさんは運転しながら何やら日本語の歌を歌い、「そんなの関係ねぇ!はい、おっぱっぴー」などと叫んでいる。

彼の流行はやや遅れているらしい。
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15分ほど走っただろうか。オートリクシャーはタージマハルに到着した。

ここでナカムラさんから提案。

 

ナカムラさん「アーグラーにはタージマハルだけでなく、アーグラー城、ベビー・タージマハル、ブラック・タージマハルなどもあります。

それらすべてを回る観光ツアーを、一人800ルピーでどうですか?

日本人観光客からの賞賛の声もあります。このノートを見てください」

 

そう言いながら、ナカムラさんは一冊のノートをこちらに手渡した。

 

 

 

ノートを見てみると、たしかに日本人からの賞賛の声がたくさん書き込まれている。

これは信用できるかもしれない。

あらゆるビジネスにおいて、お客様の声の効果は絶大だ。ナカムラさんはそのことを知っているのだ。

 

 

 

僕「土産屋とか必要のない場所には連れ回されたくないんだ。僕らは土産は買わないから時間の無駄だし、疲れるからね」

ナカムラさん「大丈夫。あなたが行きたい場所にだけ連れていきます」

僕「グッド!でも、一人800ルピーは高いね。一人400ルピーにならない?」

ナカムラさん「400は無理です。600ルピーならいいですよ」

僕「OK。じゃあメモするから少し待ってね」

 

言った言わないの水掛け論を回避するコツ。その場でiPhoneのメモ帳に「1person 600Rs」と打ち込み、ナカムラさんに見せる。
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僕「1person 600Rs。OK?」

ナカムラさん「(iPhone画面を見ながら) OK」

 

交渉成立だ。

 

 

 

以下、タージマハルの写真。
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何年も前に社会の教科書で見た景色。ようやくこの目で見ることができた。

 

 

アーグラー城。
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僕らはタージマハルだけが目的だったので、こちらは消化試合感が否めない。

 

 

 

ランチはナカムラさんおすすめのレストラン「グリーン・パーク」にて。
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インドのスイーツ「キール」が衝撃的な味だった。簡単に説明すると「甘いおかゆ」といったところ。しかもイチゴ風味付き。

タクヤくんは涙目になりながらキールを食べていた。

 

 

ナカムラさんの友達の土産屋で、淹れたてのダージリン・ティーとマサラ・チャイも飲めた。
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無理にモノを売りつけようとしない、良い土産屋だったな。

 

 

 

 

夕方。ツアーの全行程を終えて駅に戻る。

いざ支払いのとき、僕は少しカマをかけてみた。ナカムラさんの人間性を見極める悪魔の質問だ。

 

僕「今日は楽しかったよ。支払い金額を忘れてしまったんだけど、いくら払えばいい?」

ナカムラさん「ひとり600ルピーです」

 

 

驚いた。たいていのインド人なら、ここは800ルピーとふっかけてくるはず。

ナカムラさんは本当に善良なインド人だったのだ。

 

 

 

 

この誠実さに感動して、僕はアーグラーを気持ちよく去ることができた。

日本では当たり前の誠実さが、ここインドでは希少なものとして目に映る。

 

 

 

帰りの電車でも食事が出たが、こちらはなかなかうまかった。

朝のくさいパンとは大違いだ。

 

写真を撮り忘れたが、食後にはカップ・アイスクリームも出てきてうまかった。

 

 

 

23時頃、宿に帰宅。

 

シャワーを浴びてベッドに横になると、すぐに睡魔が襲ってくる。

 

 

 

目を閉じて今日一日を振り返る。朝からクライマックスの、おもしろい一日だったな。

 

明日の朝はゆっくり眠っていられるだろう。

安心するとそこで思考は断ち切られ、僕は深い眠りに落ちていった。

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