君の知らない世界一周物語

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女ネトゲ廃人あらわる!チリワインを二人でラッパ飲みの夜

kankokuhaijin
クスコで元ネトゲ廃人との奇跡的な出会いを遂げた二日後。

またしてもぼくは元ネトゲ廃人との出会いを経験することになった。

しかも今度は韓国人の女性だった。

 

※前回のネトゲ廃人記事はこちら。
天文学的な出会い「二人のネトゲ廃人」

 

ぼくがいま使っているドミトリー(相部屋)にはベッドが三つある。

その日はベッドが二つ埋まっていた。ぼくと韓国人女性だ。

名前はヘヨンという。

 

 

夜、ぼくが散歩から戻ると、ヘヨンは部屋のソファーに座り、一人で瓶のワインをラッパ飲みしていた。

 

ほぼ初対面。

「豪快な女性だな」と思いながら、ぼくは「オラ〜」とあいさつを交わしてベッドに腰掛けた。

 

ぼくが日本人だとわかると、ヘヨンは「コニチワ。ウドン タベタイ」などと言ってワインをあおった。

菊地凛子似のどこか不思議な雰囲気の女性だ。

 

 

 

短い会話を終え、ぼくは自分の身支度を続けた。

「夜飯はどうしようかな、、、外食?インスタントラーメン?」と考えていると、ヘヨンがワインを勧めてきた。

「ドウジョ」

 

ヘヨンは流暢な英語を話すが、スペイン語と日本語は片言だ。

韓国人の話す日本語は、どこか舌足らずでかわいい。

 

「この不思議な女性とワインを飲んでみるのもいいな」ぼくはそう思って、夕食を食べに行くのをやめ、ヘヨンから瓶を受け取った。

 

 

 

カサデルインカの静かな夜。

部屋で二人、ぼくらはワインをまわし飲みしながら、英語メイン(スペイン語2割、日本語1割、英語7割)で会話を楽しんだ。

 

空腹に赤ワインが染みる。ふとワインの製造元ラベルを見ると、「CONCHA Y TORO」と書いてある。チリのサンティアゴで泊まった宿「タレス」と同じ通りの名前だ。

タレス。なつかしい面々が頭をよぎる。みんな元気でやっているだろうか。

 

 

 

 

流暢な英語に身振り手振りを加えて話すヘヨンは、まるで踊っているかのようだ。見ていて楽しい。

喜怒哀楽をストレートに表す彼女は、「ファック」とか「シット」とかの汚い言葉も平気で使う。

 

大きな瞳。口を大きく開けて大笑いしたり、眉間にしわを寄せたり、くるくる変わる表情。外見だけ見ていると、映画版「ノルウェイの森」の菊地凛子にそっくりだ。

 

ぼくがトランプマジックを披露すると、ヘヨンは子どもみたいにはしゃいだ。

 

 

 

趣味の話題になり、ヘヨンは元ネトゲ廃人だったということがわかった。

ヘヨン「私はいま31歳だけど、最近まで8年間ほど”WoW”というオンラインゲームに熱中していたの。友達の誘いを断ったり、一日中なにも食べずにベッドの上でゲームをしたり、ゲームがしたくて仕事を休んだりしたわ。いま思えば、人生を無駄にしたと思う」

※WoWとは?⇒アメリカ発のオンラインRPG「World of Warcraft」のこと。

なり「そうなんだ。ぼくも大学の頃ネトゲ廃人だったよ。リネージュという韓国のゲームなんだけど」

ヘヨン「韓国ではリネージュは有名だよ。私も少しだけプレイしたことがある。すぐに辞めちゃったけど」

 

 

 

元ネトゲ廃人であるヘヨンは、先般の奇跡的な出会いのすごさもわかってくれた。

なり「そういえば二日ほど前に、この宿でものすごい出会いをしたんだよ。ぼくがリネージュをやっていたのは10年前なんだけど、同じサーバーでやっていたプレイヤーに出会ったんだ。しかもぼくは彼とゲームの中で話したことがあって、彼はぼくの旅ブログを読んでいた」

ヘヨン「Oh my goodness!!!! シンジラレルジャナイ?」

なり「”信じられない”」

ヘヨン「Oh Fuck! シンジラレナイ」

 

 

 

 

インターネット上の仮想世界という抽象世界。肉体から分離され、ぼくらの思考だけが飛び交うオンラインゲームの世界でも、たしかにぼくらは生きていたのだ。

パズドラであれ、リネージュであれ、ゲームなんてたかがデータだ。たかがデータのためにリアル(命)を犠牲にして、膨大な時間とお金を費やしているぼくら人間の生きる目的は、いったいどこに存在するのだろうか。

 

「あるいはーーー」ぼくは赤ワインの瓶をヘヨンにまわしながら思った。「ゲーマーにとっては、データもリアル(命)なのだ。逆説的かもしれないが、彼らはリアルを削りながらリアルを生きているのかもしれない」

 

でもぼくは、数秒後にすぐに考え直した。

「いや、ありえない。データが命なんてことはありえない。ぼくらにとって本当に大切なものは、いま目の前にいる、”肉体ある存在”だ。FacebookでもLINEでもない。”肉体ある存在”こそが真実だ。ぼくらが全力で愛するべき存在、全力で笑わせるべき存在は、目の前にいる人間そのものなのだ」

「あるいは、すべてはプロセスなのだ。ネトゲ廃人も、旅も、言語学習も、サラリーマン経験も。すべてが”ぼくというストーリー”を語るうえでのプロセスなのだ。ストーリーは、読む側ではなく語る側になったほうが楽しい。イベントは、参加者側よりも主催者側のほうが楽しい。仕掛けられる側よりも、仕掛ける側になろう」

 

 

 

 

韓国の元ネトゲ廃人女ヘヨン。彼女との会話を楽しみながら、ぼくはそんなことを考えていた。

目の前の会話からそれ以上のものを抽出する姿勢。これこそが抽象化思考だ。過去を肯定し、すべてを学びに変えようとする勇気の姿勢だ。

 

 

 

気づくと時刻は24時をまわっていた。

ヘヨンは酔っぱらってしまい、歯も磨かずにベッドに飛び込むと、すぐに眠ってしまった。

「ウドン オデン アイスクリーム タベタイ」などとつぶやきながら眠る彼女は、まるで子どものようだった。

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Comments & Trackbacks

  • Comments ( 1 )
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  1. はじめまして!
    タイトルに惹かれてブログ開いたらまさかのリネージュ!
    そしてカノ鯖!!
    僕もプレイしてました!どこかでしゃべってるかもしれません。。
    結構前に引退していますが・・・。

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