君の知らない世界一周物語

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夜のピクニックin空港。まごころのサンドウィッチを君に

3月12日、22時。

ぼくは約9時間にわたり居座ったVIPラウンジから退出した。

従業員に次のように言われたからだ。

「ラウンジの利用は6時間までです。6時間を超える場合は、追加料金として27ドル払ってください」

 

通常6時間のところを大目に見て9時間も居させてくれたのだ。ラウンジの従業員には感謝したいと思う。

ぼくはゴネることもなく素直にラウンジを出た。

 

 

チリ南端のプンタアレーナス空港は小さな空港だ。スカイ航空とラン航空の便しか発着していない。この小ささは、アイスランドのレイキャヴィク空港に雰囲気が似ている。

搭乗フロアはこぢんまりとしているが、寝やすいイスがたくさんある。ラウンジのWi-Fiが搭乗フロアにも届いており、清掃も行き届いている。
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搭乗フロアに出たのは22時。翌朝6時のフライトまであと8時間。

仲間とメールしたり、Facebookに励ましのコメントをくれた人たちに返信したり、電子書籍を読んだり、音楽を聞いたりしていたら、ラウンジから女性従業員が出てきてぼくに話しかけてきた。

従業員「私はファビオラっていうの。あなたの名前は?」

なり「え、サビオラっていうの?ぼくはNariだよ」

※サビオラとは?⇒アルゼンチン出身のサッカー選手。2000年代前半、FCバルセロナで活躍した。あの頃のバルサには、リバウド、クライファート、ロナウジーニョなどのスター選手がいた。

 

ファビオラ「違うわ。サビオラじゃなくて”ファビオラ”よ。ところであなた、お昼からずっとここにいるわよね。なぜそんなに長時間ここにいるの?飛行機には乗らないの?」

なり「ああ、それがね、本当は今日の13時半のフライトを予約していたんだけど、なぜかキャンセルされていて、翌朝6時の便を待たなければならなくなったんだ」

ファビオラ「それは大変ね。ちょっと待ってて」

そう言うと、ファビオラはラウンジへ戻っていった。

 

1分後、ファビオラが戻ってきた。手にはサンドウィッチと桃と缶コーラを2本持っている。

ファビオラ「本当はこんなことしちゃいけないんだけど、あなたはかわいそうだからこれをあげるわ。秘密ね」

なり「えっ!ありがとう!ムチャス・グラシアス!」

 

 

ファビオラは微笑むとラウンジへ戻っていった。

 

 

 

搭乗フロアにひとり、ぼくは再び残される。

予期せぬ差し入れ。
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けっして上等とはいえないサンドウィッチだが、ファビオラの”優しさ”というスパイスにより、ぼくにとって忘れられないサンドウィッチとなった。

 

 

ぼくらはモノを求めているのではない。感情の動きやストーリーを求めているのだ。こういった文脈の中で食べるサンドウィッチは、腹だけでなく心も満たしてくれる。

 

ありがとう、ファビオラ。

 

 

 

 

深夜3時頃、フロアを掃除している従業員がいたので、話しかけてみた。

なり「グラシアス ポル リンピエサ」(掃除してくれてありがとう)

と言うと、この従業員もファビオラと同じように、ぼくがたったひとりで深夜の搭乗フロアにいる理由を尋ね、同情してくれた。

 

 

ここパタゴニアでも高いお金を払って美しい景色を見たけれど、やはりぼくはこういった”人との触れ合い”の中にこそ、より大きな感動を見るのだ。

 

 

 

 

 

結局、夜のピクニックを満喫したぼくは、朝まで一睡もしなかった。

 

5時30分になると、6時のフライトを待つ客が続々とやってきた。フロアが一気に騒がしくなる。
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ようやくだ。

ぼくは列の先頭から二人目に並び、飛行機に乗り込んだ。
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じつに18時間。ぼくにとって史上最長の空港滞在時間だった。

 

そして現在時刻は3月13日の14時5分。ぼくはサンティアゴ空港のラウンジで、このブログを書いている。

イースター島行きの飛行機は17時40分発。いよいよだ。

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