君の知らない世界一周物語

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プロントのコーヒーとパイネ国立公園

渋谷センター街の喧噪。汗とスーツ。氷の溶けたアイスコーヒー。断片的な記憶とともに、ショウさんの言葉が浮かんでくる。

「パイネ国立公園がおすすめだよ」

そのパイネ国立公園に、ぼくは来たのだ。

 

2012年、某日。渋谷センター街のプロント(喫茶店)で、ぼくはショウさんという男性に会っていた。

ショウさんは世界一周経験者だった。

 

 

ショウさんとは東京の旅イベントで知り合った。

当時まだ海外旅行にも行ったことのなかったぼくにとって、ショウさんとの会話はとても刺激的だったのを覚えている。

 

 

 

おすすめのカメラレンズとか、旅アイテムとか、いろいろなことを教えてもらった。

 

渋谷のプロントにやってきたショウさんはその日、スーツ姿だった。「これから再就職のための面接に行くんだ」と言っていた気がする。

帰国後は、旅人にも”再就職という名の現実”が待っているのだなぁと、感慨深く感じたものだ。

 

 

 

いろいろなことを話したが、特に印象に残ったのは「パイネ国立公園」という言葉だった。

 

渋谷のプロントには、暑そうなスーツ姿のショウさんと、私服姿のぼくがいた。

たしかに暑い日だった。氷が半分以上溶けて薄くなったアイスコーヒーを仕方なさそうに飲みながら、ショウさんは言った。

「なりくん、世界一周に行くならおすすめの場所があるよ。南米大陸の南、パタゴニアとよばれる地帯にある”パイネ国立公園”だ。ここはすごくいい。”パイネのなにがいいのか?”なんて質問はよしてくれよ。なにがいいかは、行ってみればわかるから」

 

 

 

 

あれから3年が経った。

ぼくはショウさんから聞いた「パイネ国立公園」という言葉の不思議な響きに導かれるかのように、今日そのパイネを訪れたのだ。
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よくわからないが、たしかにパイネはいい場所だった。悪天候だったという点を除いては。

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悪天候のせいで、本来なら見えるであろう美しい景色がほとんど見れなかった。

 

 

 

旅をしていれば、観光が天候に恵まれないときもある。

マチュピチュもそうだったではないか。

 

 

 

 

天候。たしかに天候がいいほうが美しい景色が見えるかもしれない。

しかし重要なのはそこではない。

 

パイネに来たという事実が重要なのだ。

天候はどうあれ、ぼくはパイネに来たのだ。

 

渋谷のプロントで聞いた話だけを頼りに、ぼくはここまで来たのだ。そのRPG的事実だけが重要なのだ。

 

 

 

 

「パイネに来た」

その事実だけを勲章みたいに握りしめ、ぼくは次の目的地へ向かおうと思う。

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